「フラット３５」って本当に良い住宅ローンなの？
フラット３５という住宅ローンの内容や種類に関しては「フラット３５の金利と手数料は、銀行によって違う？」で詳しくご説明していますので、そちらをご確認して頂くとして、ここでは、フラット３５という住宅ローンは、本当に良い商品なのか？利用価値があるのか？という観点から掘り下げてみます。
１．そもそも「フラット３５」はどうして生まれた？
フラット３５は、銀行と住宅金融支援機構がコラボした住宅ローンだというのは何となく知っている方もいると思います。
では、この「住宅金融支援機構」というのはどんな機構なのでしょう？
住宅金融支援機構は知らなくても「住宅金融公庫」と聞けば知っている、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
以前からあった住宅金融公庫は、もちろん政府が「民間の家づくりを住宅ローンで応援する」という目的で作られた組織で、郵便貯金を原資として運用を開始したものです。
ローンを借りる方が、金利が変動しても安心して融資を受けられるように、全期間固定金利で直接ユーザーに貸し出ししていました。
そのため、たとえ金融公庫自体が赤字になっても税金を投入して国民のマイホーム取得を後押ししていました。
ところが、小泉政権の時代に住宅金融公庫は巨額赤字という事で組織自体が見直されました。
また郵政民営化にも絡んで、原資が郵便貯金であったこともあり、お金の流れを変える意味で住宅金融公庫そのものと、マイホームに直接融資する事業を廃止しました。
ただし、完全に廃止してしまうと、マイホームが購入できない人も出てきて困るので、融資業務を銀行と連携し行う新しい組織として発足したのが「住宅金融支援機構」です。
そして、この住宅金融支援機構を利用して融資を受ける住宅ローンが「フラット３５」という商品です。
２．フラット３５の良いところは「借りられるための条件が緩い」こと！
フラット３５は前述の住宅金融公庫時代より、ローンを借りる方が、将来の返済計画が計算しやすい様に全期間固定金利を採用しています。
もし、低金利時代に低い金で借入をしていれば、将来金利が上がっても返済額が増えることもないので安心です。
通常の銀行では、現在は勤続年数が1年以上あれば原則ローンを借りる事が出来ます。
以前は、特にメガバンクでは３年以上というのが常識でしたが、現状は勤務先に問題が無く、安定した収入があれば１年以上の勤続年数で大丈夫というのがほとんどです。
転職歴のある方でも、現職と前職の職種などが同じであれば転職後１年でもＯＫです。
フラット３５では勤続年数が１年未満でも可能です。（およそ半年あれば可能です）
ただし、その間の給与明細書は全て必要となります。
また、年収については銀行等では原則３００万円以上ですが、フラット３５では２００万円台後半から審査可能となります。
もちろん返済比率によって借りられる金額に制限がありますけどね。
銀行の住宅ローンではまず不可能ですが、フラット３５では産休中や育休中の奥さんひとりでも借りる事が可能です。
もちろん、勤務先から発行してもらう復職証明書などの書類が必要です。また、産休中や育休中の間に返済が出来るという預貯金の証明書も必要となります。
ようは、勤続年数が短かったり転職歴がある方、自己資金をあまり使いたくない方にとっては良い住宅ローンと言えます。
３．フラット３５の残念なところ！
①融資上限額が決まっている！
フラット３５の残念なところ（デメリット）は、これは物件価格１００％の融資を受けられない事です。
現在、銀行などでは１００％融資は当たり前ですが、それに加え諸費用分も上乗せして借りる事も可能です。
でも、フラット３５にはそれがありません。原則、物件価格の９０％までとなっています。
なので、あまり自己資金に余裕がない場合や、使いたくないという方には、フラット３５は使いづらいという事になります。
②事務手数料が高い！
また、事務手数料が高いのもデメリットの一つになります。
一般的に銀行ローンを借りる場合の事務手数料は33,000円(税込)ですが、フラット３５の場合は融資金額の２％前後掛かってしまいます。（窓口になる金融機関によって手数料額が違います。）
（窓口金融機関による事務手数料の違い）
〇みずほ銀行→融資額の1.87％（手数料定額型もあり）
〇りそな銀行→融資額の1.87％
〇ＡＬＵＨＩ→融資額の2.2％
〇楽天銀行→融資額の1.1％
〇三井住友信託銀行→1.43％
③銀行や不動産会社は実はあまり勧めない！
銀行ローンの場合には、ローンの事前審査を出してから回答が出るまで、早ければ翌日という事もありますが、フラット３５の場合には約１週間かかります。
そこから契約して本申込、そして融資を受けるまでの期間がどうしても銀行ローンより掛かってしまいます。
加えて成約となれば金融機関には機構から手数料が入りますが、自行の融資額が増える訳ではありませんので、融資額のノルマがある銀行としてはフラット３５ではなく、自行の住宅ローンを利用してもらいたがるのす。
転職歴がある場合はどうなの？